4代目となるマツダ・ロードスターが発売されるこの2015年もロードスターカップは例年通り全4戦(4・5・8・9月)での開催。NA6/NA8/NB6/NB8の4つのクラスが混走。車両規則もほぼ変更なく、開幕戦に集った顔ぶれも、昨年までの継続参戦組がほとんどといった状況である。
顔ぶれは、NA6クラスが6台。2014年のシリーズ5位までが出揃った。新チャンピオン山川譲(ジョイファスト/メンテナンス)に対し、最終戦のペナルティで涙を飲んだシリーズ2位茂木文明(大山オート/メンテナンス)が挑む構図。昨年はこの2台が他を抜きん出ていたが、表彰台の常連だが未勝利のシリーズ3位辻本均、一昨年からおよそ20年振りにレース復帰の4位野木強、5位の大ベテラン入江直がトップ2台にくらいついてくると、俄然面白くなるので期待したい。そして数年振りに復帰の、榎園弘。
NA8クラスは4台。こちらもシリーズ3位までが出揃う。成立するクラスでは台数が最も少ないが、総合でもトップ争いをする昨年全勝優勝のシリーズチャンピオン、山形卓(大山オート/メンテナンス)と、こちらも全戦2位でシリーズ2位の山田健介は、マシンの戦闘力もドライバーのレベルも非常に高い。山田は今年こそ悲願の1勝なるか。シリーズ3位の松波太郎はスポット参戦組。そして、小原健一は昨年のNCオープンクラスの全勝シリーズチャンピオン。昨年の最終戦もNA8クラスにスポット参戦したが、今年はこのクラスに一本化の模様。山形との全勝チャンプ対決は大いに注目したいところ。
NB8クラスは全クラス最多の11台が出走。こちらも昨年全勝優勝の戸田裕一(ジョイファスト/メンテナンス)は継続参戦。年をまたぎ7連勝中と無類の強さ。他車より一歩も二歩も先を行く印象があり、誰が戸田の連勝を止めるかに注目したい。昨年2位2回のシリーズ2位神谷誠。おやぢレーシングのベテラン2人赤石沢清人、田辺浩一。スポット参戦だか光る速さを見せる澤田薫。自力を着けてきた大山オートメンテナンスの羽入大輔。戸田が連勝する前の最後の勝者山平健太郎あたりが期待か。他、大矢明夫、芹澤祥宏、三橋準、東宗明。いずれもショップの看板を掲げたマシンが多く、ロードスタースペシャルショップとしての意地と名誉をかけた戦いも見ものである。
[予選]
雲が多く若干肌寒い中、完全ドライコンディションで20分間の計測が行われた。
総合トップはNA8クラスの88号車山田(2:06.811)。これが自身の初のPPで、総合でもトップのおまけつき。集団にのまれてタイムが伸び悩んでいた中、最後の最後に3号車羽入のスリップストリームをばっちり使い、スーパーラップを叩き出した。総合2位はNB8クラスのトップ、11号車戸田(2:06.894)。総合3位にNA8クラスで2位となった1号車山形(2:06.931)。総合4位にNA8クラス3位、0号車小原(2:07.116)。ここらはほとんどタイム差がなく、クラスを超えた激しいバトルが期待できる。なんとNA8クラス4台中3台が総合4位までの中に入った。
NA6クラスのトップは、総合では9番手で、ニューカラーリングの23号車山川(2:07.890)が奪取したが、直接のライバル7号車茂木(2:08.067)も、ごく僅差ですぐ後ろの総合10番手に着ける。更に僅差で総合11番手に5号車入江(2:08.140)と、NA6クラスもかなり熱いバトルが予想される。
NB8クラスのトップは前述の通り戸田だが、クラス2位、総合では5位の75号車澤田(2:07.460)から、総合8位クラス5位の22号車山平(2:07.804)まで、ずらっと僅差で4台のNB8勢が並ぶ。ただ戸田との間には小原と山形がおり、いずれも早々に戸田に追いつきたいところであろうが、もちろん小原と山形も、同様に戸田を跳び越して山田に追いつくことを狙っている。他クラスの車両を追い越していかないと直接のライバルが見えてこない、混走レースの難しさ。
予選タイムの分布としては、2分6秒台が3台、7秒台6台、8秒台6台、9秒3台、10秒台3台となる。
[決勝]
フォーメーションラップ開始直前に、若干ぱらついたのでまさか!と緊張感が増したが、結局は降ることなく、ドライで8周のレースが戦われた。因みに全21台中、クムホV700が20台、登場時から話題を振りまくポテンザRE71Rは1台のみの装着に留まり、今年もことドライに限っては例年通りV700のほぼワンメイク状態となりそうである。
PPの山田は無難なスタートだったが、総合3番手山形が飛び出し良く総合2番手戸田を抜く。山田はそのままトップで1コーナーへ。上位では、総合4番手小原がスタートを失敗し10番手辺りまで後退。その後、激しく追い上げていく。
そのオープニングラップで、山形がアドバンコーナーの立ち上がりでシフトミス。それによって戸田と予選総合5番手澤田に相次いでパスされ、総合4番手に交代。そのまま戸田は山田を激しく攻め立て、2周目のコカコーラコーナーでインを奪って総合トップへ。その同じ周にダンロップコーナーで山形が澤田を抜き返し、これで総合3位。戸田→山田→山形のオーダーとなり、澤田は徐々に後退し、代わりに神谷が浮上してくる。4周目、ストレートで山形が山田をパスし、勢いに乗る山形は翌周には戸田をも1コーナーで抜き、これで総合トップに浮上。昨年の戸田と山形の戦績は2勝2敗。実力は拮抗している。戸田もそのままくらいついていって再逆転を狙い、ワンミスあれば容易に逆転が可能な間隔ではあったものの、パスするには至らず。山田も戸田に対しては同様であった。
また、その後ろも混戦模様。赤石沢、山平、澤田のNB8勢の激しいバトルの直後では、NA6クラスのトップの座をかけて茂木と山川が順位を入れ替えての激しい攻防が続く。NA6の3番手入江はその2台からはちょっと離されてしまい、羽入や大矢らのNB8クラスのいわば第2集団内に取り込まれてしまった格好。更にそこから少し離れて、NA8の松波、NB8の三橋、NA6の野木らが続く。最後方ではNA6の榎園が単独走行に。4周目に100号車芹澤が駆動系のトラブルでピットイン→リタイヤ。今回リタイヤはこの芹澤の1台のみであった。
8周のレースが終わってみると、結局総合優勝の栄誉は、1周目のシフトミスを帳消しとしたNA8クラスの山形が、戸田を僅差で降し獲得。これで総合3連勝、クラス7連勝となった。NA8クラス2位は今回も山田。5戦連続の2位であり、今回は初優勝の最大のチャンスだったがそれを生かすことが出来なかった。NA8クラス3位は小原。6周目には全体のファステストラップも出しながらの怒涛の追い上げで総合4位のポジションまで回復。山田とも4秒弱の間隔まで迫っており、スタートミスが大いに悔やまれる。NA8クラス4位は松波。エンジンがへたってパワーがないとのことで、思うように走れなかった模様。
NA6クラスの優勝は、まずは茂木が奪取。昨年の第2戦以来の勝利。山川も約1秒4遅れで僅差の2位フィニッシュではあったが、7周目に前日も起きたエンジントラブルが再発し、逆転かなわず。昨年は4戦で2勝ずつを分けたこの2人は、今年も好敵手として面白い戦いを見せてくれそう。3位にはベテランのしぶとい走りで入江が表彰台の最後を獲得。4位に野木を逆転して辻本、僅差で5位野木、そして野木から2秒程度の間隔を置いて、6位榎園となった。
NB8クラスは、これで戸田が8連勝。2位フィニッシュの神谷にも約7秒の差をつけており、今年も磐石の態勢か。今回2位の神谷は3位赤石沢、4位山平、5位澤田の集団からは抜き出ており、今年こそストップ戸田の急先鋒としての立ち位置を確立したいところ。今回の表彰台3名は、昨年のシリーズ上位3名と同一となった。5位の澤田からは10秒以上離されたが、6位羽入、7位大矢、8位田辺、9位三橋は集団内で、お互いほぼ僅差のフィニッシュ。そして最後尾は東となった。